HOME > サービス > 商標・ブランド教育 > セミナー アンケート結果

サービス

第48回「商標使用の実態 - 判例から学ぶ -」

講師:三協国際特許事務所 パートナー弁理士 川瀬幹夫 氏
会場:東京-2008年10月7日(火)/大阪-2008年10月12日(金)

2008年度第12弾の知的財産セミナーは 『 三協国際特許事務所 』 弁理士 川瀬 幹夫 氏をお招きし「商標使用の実態 - 判例から学ぶ -」についてご講演いただきました。

今回のセミナーでは、企業の実務担当者の方からの関心が高い「商標使用の実態」について多くの判例を交えてお話いただきました。参加された方からも「とても分かりやすく役に立った」「理解が深まった」といったご意見をいただきました。

今回の知的財産セミナーで、参加者の皆様にご回答いただきましたアンケート結果をご案内します。
参加された方はもちろん、今後の知的財産セミナーにご興味をお持ちの方もぜひご覧ください。

トムソンブランディ セミナーアンケート結果

セミナー参加者からのご意見・ご感想
文章量が多いため、以下、ご覧になりたい質問事項をクリックしてください。
第三者のキャッチフレーズに当社商標権の使用があり、困っている。
登録商標の態様と使用商標の態様に差がある場合、どの程度まで登録商標の使用となるのか?
音響機器はその性質上、商品上に多くの機能ボタンが並んでいる。それらがどんな機能を表すかをそのボタン近くに表示することは、商標の使用に該当するか?
標準文字で登録した商標はじっさいにはデザインを施して使用することが多い。これはデザイン化した商標を改めて登録しなければ商標の使用として認められないのか?(分野:織物・被服)
中古市場における流通は、不使用取消審判において使用証拠として認められると思われるか?
テキストP2の八で取引書類に使用することが商標の使用に当たるとあるが、具体的にどのような使用なのか?
テキストP2の七の電磁的方法について、例えばネットで商品と共に品名をタイトルとして書くことは商標の使用に当たるか?
役務商標の使用について、どのような行為が使用となるのか?
標準文字商標の権利範囲について調べているが、なかなか難しく困っている。
使用予定商標から出来る限り権利を広く取るために、逆にどのような商標の書体   で登録を目指すべきかいつも悩む。
消尽理論について分かりにくい面がある。
不使用取消の場面で"使用"について「マツした」←相互変更→「マツシタ」or「まつした」は社会通念上同一といえると判断されるか?
A社の登録商標「a」、B社の登録商標「b」    A社とB社はビジネスパートナーであり、商標使用ライセンスは互いに結んでいる。今回A社の商品(商標a)にB社の商標bを付して商品販売することになった。    A社とB社の間には商標権の問題は発生しないと思うが、商標の使用について、   消費者に対して何らかの問題あるいは懸念すべき事項はあるか?
商品との具体的関連において商標の「使用」に該当するか否かを判断する点に   おいてその基準をいかに解するかという問題で困っている。
使用の仕方について⇒当方で代理登録した商標をクライアントの営業部門が登録   商標とは異なる態様で使用している点について困っている。
カタカナ/英字といった二段併記登録における使用に関する定義が一定ではないように感じる。
登録態様と実際の表記のズレについてどこまで使用とされるのかよく分からない。
使用に該当するか判断に迷うことがある。
輸出専用品の製造は「使用」に該当するか?中古品と商標権侵害の関係は?
商標的使用にあたるか、よって侵害の可能性があるのかの判断基準が分からない。
著作物の題号は商標登録する必要はないのか?
海外での役務の使用の証拠に困る。
パッケージにキャッチとして他社登録商標として表示したいという他部署の依頼があった場合の判断に困ることがある。
自社の表示の仕方が間違って(適切で)ないか、事業部での使い方の周知。指定商品と実使用商品との差。
生産会社への使用許諾は必要か?例えば中国は使用許諾の義務国だが、生産会社の使用許諾の登録も必要か?
著作物の題号が商標登録されている場合の商品化等における注意事項が知りたい。
ワイズ事件の判例からの質問:倒産した会社の店舗から在庫処分された大量のブランド品や質流れ品が堂々と安値で非正規ルートで再販売されている例は、商標法違反にならないのか?
当社の非売品の商品見本や、真正品の小型サンプルが大量に、ネットオークションで個人名で販売されて困っているが、販売者をつきとめたとして、商標法違反に問えるのか?
登録商標と全くの同一ではなく社会通念上同一と考えられるような使用であれば®表示をしていても虚偽表示にはならないと考えてもよいのか?
キャッチフレーズの商標的使用について教えて欲しい。


第三者のキャッチフレーズに当社商標権の使用があり、困っている。
  ⇒貴社商標が「コカコーラ オールウェイズ」事件のように、販促キャンペーンの一環であるキャッチフレーズの一部として意味をもって使用されていることが明らかであれば、そのような態様での使用自体は認めざるをえないと思われます。
しかし、キャッチフレーズとしての使用か商標としての使用かは明確な境界線がなく、使用態様によっては判断が微妙なケースもありますので、当該第三者の使用に対し権利行使するか否かの判断は慎重に行うことが重要です。
また、現在はキャッチフレーズの一部として使用していても、将来、商標として使用される場合もあるかもしれませんので、仮に権利行使しないとしても、第三者の使用については定期的にウォッチングしておいたほうがよいでしょう。場合によっては、お知らせという形で(警告ではなく)貴社の商標権の存在を相手に知らせることで、当該第三者の商標的使用を事実上けん制することも考えられます。

TOP

登録商標の態様と使用商標の態様に差がある場合、どの程度まで登録商標の使用となるのか?®(レジスターマーク)を付けられる範囲は?
  ⇒ 登録商標の使用は、登録商標をそのままの態様で使用することをいいますので、例えば登録商標はゴシック体、実際の使用商標は花文字のようなデザイン化された態様であった場合には、たとえ同じ文字を表したものであるとしても、登録商標の使用にはあたりません。®をつけられるのは、多少の変更の余地は認められるとしても、原則、登録商標と同一のものに限られます。

TOP

音響機器はその性質上、商品上に多くの機能ボタンが並んでいる。それらがどんな機能を表すかをそのボタン近くに表示することは、商標の使用に該当するか?また、その表示が他社の商標と類似する場合は商標権侵害になるか?商品上の表示スペースが限られているので、しばしばこのような問題が起こる。
  ⇒ 機能を直接表す語(再生、録音、等)や、機能を表す語としてこの種の商品分野でごく一般的に使用されているものをボタン近くの表示するのであれば、商標の使用には該当しないと思われます。ただし、機能を直接表す語ではないものを表示した場合には、商標の使用に該当する場合はあると思われます。またそれが他人の登録商標に類似する場合には、当然に商標権侵害の問題も起こりうると考えます。訴訟になった場合の最終的結論を別にしても、権利侵害を主張されることで紛争となるおそれはあると思われます。

TOP

標準文字で登録した商標はじっさいにはデザインを施して使用することが多い。これはデザイン化した商標を改めて登録しなければ商標の使用として認められないのか?(分野:織物・被服)
  ⇒ 標準文字は商標の態様について権利要求をしないときに出願し登録するものであり標準文字で登録したからといって、通常の文字で登録した場合に比べて格別に権利範囲が拡張するわけではなく、また、同じ称呼・観念を生ずる限りいかなる態様のものも標準文字と同一の範囲に含まれるというものでもありません。
従って、標準文字で登録したのに実際はデザイン化した態様で使用していた場合、そのデザイン化の程度によっては、標準文字商標との社会通念上の同一性が認められず、不使用取消審判により取り消される場合もあると思われます。また標準文字とデザイン化した文字では、類似範囲も異なってきますので、デザイン化した商標を使用されるのであれば、デザイン化したものを改めて登録することが必要です。

TOP

中古市場における流通は、不使用取消審判において使用証拠として認められると思われるか?商品の存在が確認できても、商標権者等の取引書類がなければ商標権者等が使用しているとは言えないと思うのだが・・・。
一方、中古品の市場において、POPなどに登録商標を表示することは、当該商標権の侵害になるのか?
  ⇒ 中古市場における流通は、商標権者自身が流通させているものではないので、使用証拠として認められる可能性は、低いものと考えます。例えば取消2005-30130号審決では、商標を付した中古車の流通につき、販売しているのは流通業者であり商標権者ではないとして、商標の使用が認められませんでした。
商標が付された中古品を正規に購入して中古品として他へ販売することは、商標権侵害にはあたらないと考えます(出所混同を招くおそれがないため)ので、販売にあたってPOPなどにその商標を表示することも、許されるものと思われます。(ヘルストロン事件H15.3.20大地H14(ワ)10309参照)

TOP

テキストP2の八で取引書類に使用することが商標の使用に当たるとあるが、具体的にどのような使用なのか?例えば、請求書のタイトル(品名)に商標が使われているなら、それは商標の使用に当たるのか?また、その使用は当社が未登録の場合、他社の登録商標の侵害になるのか?
  ⇒ 例えば、請求書の商品名の欄に商標の記載があり、その隣に数量、単価、合計金額等記載したものであれば、商標の使用として認められる場合はあります。ただし、商標の使用事実があるかどうかは、様々な証拠を総合して判断しますので、請求書さえあれば必ず使用事実が認められるというものでもありません。また商標がデザイン化された文字からなるもので、請求書にはタイプ打ちの文字でしか表示されていなかった場合なども、使用事実が認められない場合がありますので、この点御注意下さい。
未登録商標を請求書等の取引書類に使用した場合であっても、侵害となるおそれはあります。

TOP

テキストP2の七の電磁的方法について、例えばインターネット(ホームページ)で商品と共に品名をタイトルとして書くことは商標の使用に当たるか?

  ⇒ 商標の使用に該当します(2条3項8号)。

TOP

役務商標の使用について、どのような行為が使用となるのか?
  ⇒ 商標法2条3項3号~8号に定義があり、その具体例をいくつか挙げると以下の通りです。
3号:(サービスの提供を象徴する有体物に商標を付する行為)
 ・ホテルが宿泊客の利用に供する家具、寝具、食器、灰皿、ホテル案内書等にホテルの商標を付する行為
 ・レストランが店内で使用する食器類にレストランの商標を付する行為
 ・タクシー会社が顧客を乗せる自動車に会社のマークを付する行為
4号:(3号で商標を付したものを用いてサービスを提供する行為)
 ・ホテルが商標を付した家具、寝具、食器等を用いて宿泊客を接待する行為
 ・レストランが商標を付した食器類を用いて客に料理や飲み物を提供する行為
 ・タクシー会社の運転手が会社の商標を付した自動車を用いて顧客を輸送する行為
5号:(3号で商標を付したものを譲渡・引渡しのために展示する行為)
 ・喫茶店が商標を付したコーヒーサイフォンを店内に置く行為
 ・自動車・電話機等の貸与を業とする会社が、これらの物品に商標を付して店頭に展示する行為
6号:(サービス提供を受ける者の所有物に商標を付する行為)
 ・自動車修理業者が定期点検を完了したこと示すために自動車の車体に商標を付する行為
 ・クリーニング後の被服にクリーニング業者が商標を付したタグを取り付ける行為
7号:(パソコン等の画面上で表示する行為)
 ・オンラインゲームの画面においてゲームを提供する業者が商標を表示する行為
8号:新聞・雑誌・TV等での広告、価格標、注文書、納品書、カタログ等に商標を付して展示・頒布する行為。ホームページ上のバナー広告に表示する行為

TOP

標準文字商標の権利範囲について調べているが、なかなか難しく困っている。(実質禁止権しかないのか?)
  ⇒ 特許庁では、標準文字による登録商標の権利範囲は、「登録された商標(商標公報上に現れた文字を、標準文字に置換したもの)と同一又は類似の範囲であり」「通常の商標登録と比較してその範囲の広狭に差異が生じることはない」と説明しています。
したがって、標準文字商標については、通常の商標に比べて格別、文字の構成態様について同一性の認められる範囲が広がるものではないと考えられます。つまり、標準文字の専用権の範囲は、標準文字で表された商標と同一の範囲であり、書体が異なる場合や、二段書きにした場合などは、同一ではなく類似の範囲、つまり禁止権の範囲に入るものと考えられます。

TOP

使用予定商標から出来る限り権利を広く取るために、逆にどのような商標の書体で登録を目指すべきかいつも悩む。(標準文字、二段書き、ロゴ)
  ⇒ 商標権者は指定商品又は指定役務について「登録商標の」使用をする権利を有する(25条)ことを考慮すると、実際に使用する態様で出願し登録されるべきと考えます。また、文字の書体やデザインが未定であれば、とりあえず標準文字で出願しておいて、使用態様が決定した段階で、使用商標が標準文字商標の権利でカバーできるものか否かを検討し、必要であれば使用態様での出願をする、というのも一つの方法かと考えます。なお、単にコスト削減の観点から、欧文字と平仮名又は片仮名を併記した二段書き商標の出願を希望される方もおられますが、実際に二段書きの態様で使用することがないのであれば、50条の不使用取消の問題が生じる場合がありますので、やはり、実際の使用態様を考慮しながら出願商標を決定されることをおすすめいたします。結局は、権利維持、権利行使、コストパフォーマンス等々総合的に考えざるを得ない、ということでしょうか。

TOP

消尽理論について分かりにくい面がある。今回のセミナーでは消尽理論の説明について、小分やつけかえ等は消尽理論の適用の話にはなっていないようだが、実務上は消尽理論の適用があるのか知りたい。
商標における使用について、使用の仕方や具体的な事例、判例があれば知りたい。
  ⇒ 小分けやつけかえについては、マグアンプ事件、STP事件、アフターダイヤモンド事件等で紹介したように、消尽は認められておらず、他に同様の事例で消尽を認めた判決というものは今のところ見当たっておりません。

TOP

不使用取消の場面で"使用"について「マツした」←相互変更→「マツシタ」or「まつした」は社会通念上同一といえると判断されるか?
  ⇒ 「マツした」←→「マツシタ」「まつした」が第50条第1項の「平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標」にあたるかが問題ですが、「マツシタ」「まつした」は人名を想起する一方、「マツした」は人名を想起しにくいため、「同一の観念」を生ずるとはいえないように思われます。従って微妙ではありますが、社会通念上の同一性なしと判断されるおそれがあると思われます。

TOP

A社の登録商標「a」、B社の登録商標「b」
   A社とB社はビジネスパートナーであり、商標使用ライセンスは互いに結んでいる。今回A社の商品(商標a)にB社の商標bを付して商品販売することになった。
A社とB社の間には商標権の問題は発生しないと思うが、商標の使用について、消費者に対して何らかの問題あるいは懸念すべき事項はあるか?
  ⇒ A社の商品とB社の商品に品質や特性等の違いがあり、需要者がB社の商品の品質等を期待して商標bが付された商品を購入したところ、実はA社の商品であった、といった場合には、不正競争防止法2条1項13号の問題を生じるかもしれません。AB間の問題だけでなく、消費者に迷惑をかけないことも十分考える必要があります。混同、誤認を打消す表示の採用も考える必要があるかもしれません。

TOP

商品との具体的関連において商標の「使用」に該当するか否かを判断する点においてその基準をいかに解するかという問題で困っている。
  ⇒ 商標Aが商品イの商標としての使用にあたるか否かについては、商標法2条3項に該当するものか、商標Aが商品イと密接な関係をもって使用されているか、取引の目印として使用されているか、自他商品識別力を発揮する態様で使用しているか、を基準に考えればある程度理解できるものと思われます。また、実際に取引者、需要者が見た場合に、その商標がその商品の出所を表す印であると認識し、商品を選択・購入する際の目印とするか否か、を考えることも重要です。例えば、「オールウェイズ コカコーラ」事件では、「Always」等の表記は、商品の包装(コカコーラの缶)に付されているものの、一般顧客がキャッチフレーズの一部として認識するものであり出所表示機能を果たさないとして商標としての使用と認めませんでした。そのほかにも微妙な判断を伴うケースについて、ブラザー用事件、BOSS事件等々、セミナーテキストに掲載しておりますのでご参照下さい。

TOP

使用の仕方について⇒当方で代理登録した商標をクライアントの営業部門が登録商標とは異なる態様で使用している点について困っている。
  ⇒ 登録商標と異なる態様で使用した場合、使用態様によっては以下の問題が生じるおそれがあります。
・50条の不使用取消審判の対象となる。
・51条(使用権者による使用の場合は53条)の不正使用取消審判の対象となる。
・当該使用行為が他人の商標権侵害に該当する場合には、差止、損害賠償請求の対象となる。
商標権者が使用できる権利を有するのはあくまでも登録商標そのものであることと、登録商標と異なる態様(それが類似の範囲にあったとしても)で使用した場合に上記リスクがあることをクライアントに十分説明し、その上で、登録商標そのものを使用するか、もしくは実際の使用態様で改めて商標出願し権利確保するようアドバイスされてはいかがでしょうか。

TOP

カタカナ/英字といった二段併記登録における使用に関する定義が一定ではないように感じる。
  ⇒ おっしゃるとおりだと思います。
ちなみに、不使用取消審判の場面でも、判断にはかなりの「ばらつき」が見られます。たとえば、
(a)審判2005-30543:商標「サーパス」の使用は、登録商標「サーパス/SERPAS」の使用とは認められない。(∵「サーパス」のカタカナからは「SERPAS」よりも寧ろ「SURPASS」を想起し得るものであるから、観念が異なる。)
のように、観念の同一性を厳格に判断した審決例もありますが、 (b)審判2006-31086:商標「GAM」の使用は、登録商標「ジャム/GAM」の使用と認められる。のように、かなり緩く判断されている例も存在しています。

上記(a)のように社会通念上の同一性を厳しく判断される場合も念頭において、やはり重要な商標はできるだけ使用する態様のままで登録しておくことが望ましいものと思われます。
(二段併記で使用する機会は、実際は殆どないと思われますので、登録表示Rを付す場合にも配慮し、実際に使用する「カタカナ」「英字」それぞれで出願し、登録しておくほうが望ましいと思われます。)

TOP

登録態様と実際の表記のズレについてどこまで使用とされるのかよく分からない。
  ⇒ 不使用取消審判の場面、権利行使の場面など、事情によっても異なりますし、同じ不使用取消審判の場面にあって社会通念上同一を問う場面であっても審決にはかなり「ばらつき」があり、一概にはご説明しかねるのが実情です。
実際の事例ごとに、相談されてはいかがでしょうか。

TOP

使用に該当するか判断に迷うことがある。
  ⇒ 一口に「使用」と云っても、「使用」が問題とされる局面によって判断が異なりますし、それぞれの局面でも使用に該当するかどうかは、非常に難しい問題であり、商標の重要性など事情を考慮しつつ判断を行う必要があります。しばしばクライアントから使用に関するご相談を頂きますが、その都度いろいろな事情をお伺いしたうえで、使用する場合のリスク等を含めてご説明し、社内でのご判断に役立てて頂いております。

TOP

S輸出専用品の製造は「使用」に該当するか?中古品と商標権侵害の関係は?
  ⇒ 平成18年商標法改正により、商標の「使用」の定義に、「商品又は商品の包装に標章を付したものを輸出する」行為が含まれました(商標法2条3項2号)。従って、製造した商品(又はその包装)に商標が付されており、それを輸出すれば、それは商標の「使用」に該当します。
中古品の販売は、原則として商標権侵害に該当しません。中古品にもともとの商標を付して販売したとしても、出所は同一であり、商標の有する機能を害するわけではないとされるからです。また、一度正規に販売されることによって「商標権が消尽した」という考え方で説明される場合もあります。
但し、その中古品に改造を加えたり(テキストP11「アフターダイヤモンド事件」)、小分けなどの再包装を行ったり(テキストP4「マグアンプ事件」)した場合には、商標権侵害とされる場合があります。また、商標表示を削り取るなどの行為にも問題が発生するケースもあると考えられています。

TOP

商標的使用にあたるか、よって侵害の可能性があるのかの判断基準が分からない。
  ⇒ 一言で云えば、取引の目印として機能しているかどうか、が分かれ目です。そして、取引の目印として機能しているかどうかは、使用の態様(商標の大きさや位置等)、使用する商品(サービス)の内容等、具体的な事情によって異なってまいります。また、実際に侵害と判断されるかどうか、訴訟になればどのような証拠を提出できるかによっても異なってまいります。
したがって、判断基準というものを一概にご説明することは困難なのが実情であり、具体的事例に従って判断することになります。

TOP

著作物の題号は商標登録する必要はないのか?(「ドラえもん」などTOYに使う場合など)
  ⇒ 著作物の題号自体は、商標ではないとされています。したがって、著作物(本など)に、その題号を表示する行為は、商標の使用ではありません。
しかし、著作物の題号であっても、それを商標として使用する場合も多く見受けられます。ポパイ第2事件(テキストP27)のように、「ポパイ」の名称や図柄をマフラーにワンポイントマークとして使用した場合には、意匠的使用であると同時に商標的使用でもあると判断されています。
同様に、「ドラえもん」を、TOY(おもちゃ)やお菓子、Tシャツなどの様々なキャラクター商品、或いはそれらキャラクター商品の宣伝広告物には、商標的使用と判断される表示方法をされる場合も多いのではないかと思われます。やはり商標登録しておかれるべきではないでしょうか。
また、権利行使の場面でも、商標登録しておく方が有利です。許諾を得ない第三者がキャラクター商品などに「ドラえもん」を商標的に使用した場合、商標権者であるというだけでその侵害行為を差し止めることができ、手続が簡単であるため、不正競争防止法や著作権法を根拠にする裁判において保護を求める地位にあることから立証しなければならないのに比べ、費用・労力ともに少なく済ませることができるからです。

TOP

海外での役務の使用の証拠に困る。 (海外旅行の場合、主役はあくまでも日本であるため)
  ⇒ ご質問の趣旨は、例えばアメリカで「旅行の手配」などの役務について商標を出願し、その使用証明を提出する場合の話でしょうか?
そうだとすると、現地事務所などで配布されていることの判るオプショナルツアー等の広告物を提出する方法も考えられます。出願の状況、貴社の事業内容等の詳しい事情をお伺いしないと何とも云えませんが、とりあえずはこまめに資料を保管しておくことが必要かと考えます。

TOP

パッケージにキャッチとして他社登録商標として表示したいという他部署の依頼があった場合の判断に困ることがある。
  ⇒ たとえば、貴社商品の原材料に他社の商品が含まれており、その商標を「○○入り」のような形でパッケージに表示する場合などは、「タカラ本みりん入り事件」(テキストP35)のように、商標的使用ではないとされる場合もあるものと思われます。その他、説明文中などにごく普通の文字で小さく表示する場合には、商標的使用でないと判断される場合もあるものと考えます。
しかし、原材料の商標や、説明文中での表示であれば、どう表示しても商標的使用でないと判断されるとはいえず、表示の態様、大きさ、使用する商標の著名性など、様々な事情によって商標的使用かどうかの判断も異なってくるものと思われますので、注意が必要です。
また、他社の登録商標を表示する場合、たとえ説明文中などに記載しただけであっても、商標権者としてはそれが商標の普通名称化などを招くとして問題視する場合も多く、トラブルを生じやすいのが実情です。やはり、他社の登録商標を表示する場合には、事前に他社(商標権者)の許諾を得てから、というのが安全ではないでしょうか。

TOP

自社の表示の仕方が間違って(適切で)ないか、事業部での使い方の周知。
指定商品と実使用商品との差(本当に権利を使用していることになっているのか判断がつかないことがある。)
  ⇒ 商標的使用かどうかの判断が難しいものであることは、セミナーからもご理解いただけたものと思っておりますが、それに伴って、表示の仕方、それをどう事業部に指導するか、などは、知財部門の皆さんが悩んでおられるポイントのようです。
商標の表示の仕方、使い方は、法律的に適法であることは勿論、企業マーケティングの側面から、全体的な見地での統一された基準が必要かと考えます。
貴社にふさわしい商標使用基準を策定し、事業所・営業所等に徹底していくのも知財部門の役割かもしれません。

TOP

生産会社への使用許諾は必要か?例えば中国は使用許諾の義務国だが、生産会社の使用許諾の登録も必要か?
  ⇒ 国の事情によって必要性は異なると思われますが、少なくとも中国については、下請け的な会社であっても、使用許諾をした上でそれを登録(届出)する必要があると思われます。届出によって、権利関係を明確にすることができますので、生産会社とのトラブルの解決に役立つ場合もあると思われますし、不使用取消審判に対抗する方策としても必須と考えます。

TOP

著作物の題号が商標登録されている場合の商品化等における注意事項が知りたい。
  ⇒ たとえば著作物の題号がその著作物に登場するキャラクターの名称である場合、いわゆるキャラクター商品については、商標登録がされているのが通常です。キャラクター商品を製造する場合には、その商品自体にキャラクターの名称を付す場合であっても、表示の仕方によっては商標的使用となり(「ポパイ第2事件」テキストP27ご参照)、商標権が存在する場合にはその商標権との関係が問題となります。また、商品自体でなくその広告・宣伝物にキャラクター名称を表示する場合には、商標的使用に該当する場合が多いものと思われます。
したがって、商品化に伴う契約においては、商標権の使用許諾を明文化するなどして、商標権侵害を問われない状況をクリアにしておく必要があります。(したがって、契約の相手が商標権者でない場合には、問題が生じやすいので、注意すべきであると思われます。)

TOP

ワイズ事件の判例からの質問:
倒産した会社の店舗から在庫処分された大量のブランド品が正規ルートでない御徒町あたりで再販売されている例や、シャネルやエルメスのバッグの質流れ品が、大量に堂々と安値で非正規ルートで再販売されている例は、商標法違反にならないのか?
  ⇒ 在庫処分された商品や質流れ品など、どのようなルートであっても、正規に商標を付された真正な商品である限りは、それをそのまま(改造等を加えずに)販売することは商標権侵害ではありません。商標の有する出所表示機能や品質保証機能等を損なうものではないと考えられるからです。(倒産会社の在庫処分品は、ワイズ事件のような廃棄品(キャリー品)でなく、商標権者の意思(明示・黙示にかかわりなく)に基づく流通品と考えられます。)
また、一度正規に販売(卸売を含む)されることによって「商標権が消尽した」という考え方で説明される場合もあります。

TOP

当社は化粧品メーカーですが、販売店に無償で提供配布する非売品の商品見本やテスターや、真正品の小型サンプルが大量に、ヤフーのネットオークションで個人名で販売されて困っている。販売者をつきとめたとして、商標法違反に問えるのか?
  ⇒ 非売品の商品見本等は、商標権者たる貴社自身の製造にかかり、適正に登録商標を付したものですから、真正商品であると評価できます。
しかし、「非売品」として提供配布したものは、流通に乗せない旨の貴社の意思を表現しており、そのような見本がヤフー等で流通に供されるのは、貴社の意思に反するものであるので、ワイズ事件判決の考え方に従えば、商標権侵害を問える可能性があります。

TOP

登録商標を使用する際、®表示をするときがある。登録商標と全くの同一ではなく社会通念上同一と考えられるような使用(たとえば、登録商標の書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標の使用、但し登録商標は標準文字や、通常の明朝体・ゴシック体ではない場合など)であれば®表示をしていても虚偽表示にはならないと考えてもよいのか?
  ⇒ 商標法の法文上は、「登録商標」以外の商標の使用をする場合に商標登録表示を付する行為は、虚偽表示であるとして禁止されています(74条)。すなわち、「社会通念上の同一」は不使用取消審判に際して持ち込まれた概念であって、厳密に云えば、商標登録表示は「登録商標」そのものでない限りは禁止されていることになります。したがって、本来は、登録の態様と全く同一の態様で表示される場合にのみ®などの商標登録表示をするのが望ましいと言えます。(ただし、実際には、明朝体をゴシック体に変更するなどの変更を加えた態様について商標登録表示を付している例は多く、また、これについてトラブルが生じたという話も耳にしておりません。積極的には勧められないが、僅かに変更した態様であれば商標登録表示を付してもリスクは少ないといえるものと考えます。)

TOP

キャッチフレーズの商標的使用について教えて欲しい。
  ⇒ キャッチフレーズを単なる企業理念として表示している場合には、商標的使用とはいえず、不使用取消などに対抗できない可能性は十分あるものと思われます。
商標は商品又は役務について使用するものである以上、商標の使用として認められるには、商品又は役務と具体的且つ密接な関係で使用する必要があります。企業ウェブサイトの表紙ページなどだけではなく、商品の宣伝・広告場面でも使用し、その証拠を保存しておくことが必要です。また、その際に、Rを付して使用する、「"○○"は××社の登録商標です」などの表示を行うなど、「商標」であることを明確にしておかれてはいかがでしょうか。

TOP

今回のアンケート結果をダウンロードする場合はこちらから 第48回知財セミナーアンケート結果.pdf