知財専門家としてバンコクに長期滞在し、タイ国内やベトナムの各地で知財セミナーを開催したユニークな経歴を持つ。東南アジア暮らしもすっかり板についた2005年春に帰国、都内に商標専門事務所を開設。
「常夏の国もよかったけれど、やっぱり日本はいいねえ。
過ごしやすいし、モノもサービスも豊富だし。」と日本のよさを満喫中。
豊崎国際特許商標事務所
豊崎玲子 http://toyosakiassociates.web.infoseek.co.jp/Home_Japan.htm
第5回 ウォッチングでブラインド期間を振り返る
出願前に調査もしたから、もう万全。ここまで苦労して調べたのだから(苦労の奇跡は第1回から第4回までを参照のこと)、そう思いたくなるのもよく分かる。
が、安心していたら思わぬ落とし穴が。重症の落とし穴は調査時点のブラインド期間に潜んでいることが多い。そこで、今回はブラインド期間をどうカバーするかについて考える。
ブラインド期間に出願された商標についてウォッチングサービスを使って追加調査を行おう。
極意1.多類似間類似に気をつけて分類を指定する。ウォッチングサービスの場合、通常のブランディ検索とは異なり、類似群の指定ができない。すべて国際分類で指定しなければならない。ということは、多類間類似商品・役務の場合には、複数の国際分類を指定しないと漏れがでてきてしまうということだ。
たとえば、調査対象商品が「家具」(20A01)だったとしよう。家具の類似群コードである「20A01」が属するすべての区分、つまり6類、11類、14類、19類、20類を指定しておかないと万全を期すことができない。ウォッチングの場合、公報(K)と速報(Q)の区別の指定をしなければならないので、K06, Q06, K11, Q11, K14, Q14, K19, Q19, K20, Q20と指定することになる。これが万全を期す指定の方法。
ただし、ブラインド期間に出された商標だけに焦点を当てるならば、速報(Q)のみを対象に検索すればよいので、その半分、つまり5件分の費用で賄えるということになる。速報、公報ともをウォッチング対象とするほうが安心感があるが、母集団が大きければ大きいほど、出力件数が増すことを忘れずに。
極意2.備考類似もついでにカバーしてウォッチングする。
調査対象役務が「電子計算機の貸与」(42X11)だったとしよう。基本的にはこの役務の属する42類だけを指定区分とすればウォッチングはオッケーだ。が、この類似群は9類の「電子応用機械器具」(11C01)と備考類似関係にある。通常のブランディ検索で備考類似群の部分までカバーすると2件の調査費用がかかってしまうため、IPDLをつかってチェックするだけという人も多い。が、ウォッチングで新規分を調査するかぎり、区分が増えても所詮2件(週100円)が課金されるだけ。せっかくだから入れておこう。
極意3.ブランディ調査をおこなった直後にウォッチング登録をする
次の表をみてほしい。これは、ブランディーのデータ更新のタイミングを簡略図化したもの。通常のブランディ検索に使われるデータは毎週日曜日に更新される。我々ユーザーは日曜日にはブランディ検索を行うことができないので、最新のデータ蓄積日は実質的に毎週月曜日ということになる。この月曜日に反映されるデータは2週間前にデータ入力された新規データ集団だ。つまり、6月11日(6月第3週)に追加されたデータは6月第1週に入力されたデータ集団ということになる。
これに対して、ウォッチングは毎週火曜日に過去一週間分に入力されたデータを母集団として検索実行されている。
この入力データの違いが何をもたらすか。
たとえば6月12日(火曜日)にブランディ調査をおこなったとしよう。
ブランディ調査の調査母集団は6月第1週分を最新収録データとしている。ブランディ調査を行った後、ただちウォッチング登録を行い、「当日検索」を指定すると、ウォッチングは6月第2週分を母集団としているので、通常ブランディよりも一週間分早いデータを手に入れることができるのだ。ウォッチングを上手に使うと調査のタイミングを逸することなく、より最新データに近いところまで確認できることになる。
ブランディもウォッチングも最新データが出揃う火曜日こそが調査日和。
仮に、「2か月も継続的に追加調査するのは面倒。出願したら、後は特許庁の判断を待つ」というスタンスを取る人も、通常のブランディ調査を行った直後に1回、ウォッチング調査やっておくと良い。この場合注意すべきことが一つ。それぞれの母集団データ更新時期(ブランディは月曜日、ウォッチングは火曜日)を考慮するなら調査は火曜日がベスト、ブランディとウォッチングを同時にみるなら月曜日は避けるべし。