トムソンブランディは去る1月16日(東京)、1月26日(大阪)に於いて特別知財セミナーを開催いたしました。
演題は、弁理士・木村三朗氏の「普通名称化を防ぐ為の商標管理」と当社企画開発室長・飯塚哲朗の「“商標の今日的課題と将来展望”その後」。
ここでは、当社企画開発室長・飯塚哲朗の「“商標の今日的課題と将来展望”その後」の講演内容の抜粋を全4回にわたってご紹介いたします。
第5回 商標の今日的課題と将来展望のその後(3)
■アンケート調査の活用について
商標・不正競争事件においては、(1)周知度の認定や(2)混同のおそれにつて争点となるケースで、需要者の一部を対象として全体を反映するアンケートを有利な証拠として活用するケースは多くなるものと予測さる。
1)周知認定度の判断では
【現行商標審査基準3条2項の抜粋:使用による識別力 】において
『3.[1] 商標が使用により識別力を有するに至ったかどうかは、例えば、次のような事実を総合勘案して判断するものとする。とし、事実認定の1に【F 需要者の商標の認識度を調査したアンケートの結果 】を挙げ、証拠方法としてアンケート調査報告書の提出を要求している。』
と、具体的に審査運用に取り入れられている。
2)審査での『同一』『類似』ひいては『混同』を判断する課題として
・審査においては、出所の混同惹起の要因として“商標および商品・役務が同一または類似する”場合には拒絶理由としている。
・登録主義の下、未だ使用されていない出願商標と引例商標との混同判断は難しく、類似で判断せざるを得ない。
・一方裁判所では、取引実態を斟酌し混同の虞でもって判断している。
従って、この課題解決の対応手段の一つとして、当該商品またはサービスの当業者または需要者に両商標の“混同または、混同の虞”に関してアンケート調査が有用な判断材料または証拠となり得るものと考える。
周知性判断が伴う条項としては、商標法3条2項(使用における識別力の取得)同法4条1項10号(未登録周知商標の保護)同法4条1項15号(出所の混同)同法32条(先使用権)不正競争防止法2条1号(周知な商品等の表示)および同法2条2号(著名な商品等の表示)などが挙げられる。また、引用商標又は侵害品が存在する場合には、本件商標の周知性と併せて出所の混同を惹起するか否か?が判断される。“周知度”と比較商標との“混同の虞”を取引実態に則して客観的数値のスケールで捕捉することができるのがアンケートであり、アンケートの利用が有用と思われる対象法域としては下図の通りと思われる。
また、過去の裁判において司法アンケートの検証結果を証拠として提出した事件の一部を紹介すると次の通りであり、
商標法3条2項の周知度の立証や4条1項11号及び15号や不競法にアンケートの利用が及んでいる。
アメリカでは、不正競業法関連訴訟でアンケートが客観的な証拠資料として重要視されている。日本においても、平均的な需要者の一部を対象として行うアンケート調査の結果が全体を反映するものとして推認され得る有力な証拠資料として活用されるケースが今後増加するものと思われる。