thomsonbrandy.jp 2.0.7(2008-10-18) トムソンブランディ事業部

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「“商標の今日的課題と将来展望”その後」

トムソンブランディは去る1月16日(東京)、1月26日(大阪)に於いて特別知財セミナーを開催いたしました。
演題は、弁理士・木村三朗氏の「普通名称化を防ぐ為の商標管理」と当社企画開発室長・飯塚哲朗の「“商標の今日的課題と将来展望”その後」。
ここでは、当社企画開発室長・飯塚哲朗の「“商標の今日的課題と将来展望”その後」の講演内容の抜粋を全4回にわたってご紹介いたします。

第4回 商標の今日的課題と将来展望のその後(2)

■同意書制度の周辺議論について
 1)平成18年産業構造審議会【商標制度のあり方について】の報告書では、同意書制度導入のユーザー希望を認めたうえで、以下のように議論が続けられている。
◎同意書(コンセント)制度の類型
 ・完全型:審査官を拘束し、同意書提出があれば拒絶理由の解消
 ・参酌型:審査上の判断情報として参酌

また、コンセントの意味合いを兼ねて、提案されたのが『相対的拒絶理由についての異議待ち審査制度』である。これを、同意書制度の1類型とみるか、代替制度の提案と見るかは別にし、全体の制度スキームとしてはCTMの商標制度に模範を見ることができ、

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CTMの制度概要は
 ・絶対的登録要件(顕著性、公益性)を審査
 ・同一、類似の先登録権利者に通知
 ・支障があれば先登録者は異議申立
 ・異議申立には登録商標の5年以内の使用が必要
 ・異議申立人と出願人は協議することができる。
  →クーリングオフ(冷却)期間:2ヶ月、延長可能
 ・異議が継続された場合に、相対的登録要件を審査する。

同制度への乗り換えは、日本が堅持している完全審査主義の方向転換であり、
 ・ユーザーの監視負担と事後的負担が増大する。
 ・ダブルパテントや無効な権利による混乱が生じる。
との反対意見が挙げられ、
審議会の方向性として『多面的側面(コスト的負担、権利の安定性、出願人、第三者、行政庁の役割分担、需要者の保護など)にその必要性を慎重に検討することが適切』として矛がおさめられた。

 他方、本筋の“同意書制度”に議論を戻し、私感を交えて述べると、
 →外国では、コンセントが有用に利用されているが、
  ・使用主義の下、指定(使用)商品が明確に限定明記されている。
  ・審査運用として混同のおそれを広くとり、当事者間の意見を聴取する姿勢。
  ・“混同のおそれが無いことから、相手商標の登録を同意する”趣旨でライセンスではない
 →日本では、
  ・登録主義下で全類指定可能であり、出願商標は未だ使用されていないケースもある。
  ・審査官は厳格な類似判断で拒絶理由を発しており、同意書の入り込む余地はない。
  ・類似商標の登録(使用)を認めることは、禁止権の解除であり、“ライセンスに相当”の理屈と風土があり対価問題が生じる。
との制度・運用・風土の異なりと共に、出所の誤認混同を危惧する意見も多く審議会の方向性としては『需要者保護の観点から更に検討。通常の意見書に加え取引の実情を知る引用商標権者の説明書が併せて提出された場合、類否判断で説明書の参酌を可能とする運用を検討する必要がある。』とされ、本来の同意書制度は継続検討し、引用商標権者の説明書の採用を審査基準に盛り込む対応がなされた。

2)同意書制度を導入するための地ならし
 (商標制度ユーザーとして同意書を巧く利用するためには、出願人サイドにおいても自粛と運用の見直しが必要と思われる。)

A.指定商品・役務の記載方法について
 平成17年特許庁商標出願動向調査(委託調査機関:トムソンブランディ)のアンケート調査の設問で、使用予定のない商品・サービスを指定商品・役務として記載することの有無についての質問に対して「ある:248社=79%」「なし:67社=21%」であり、競合他社の参入阻止やライセンスの予定などの理由以外の「権利を広く確保したい:29%」「出願料が変わらないため:24%」計53%と高率で、例えば、電気・機械が主体の第9類に『消防自動車、自動車用シガーライター』が含まれており、自動車業界企業とのバッティングが増えているとの弊害も聞こえてきている。
97年審議会では、類似群単位の料金制度も検討されたがA類似群の大小B上位概念・包括記載による商品の大小B外国人ユーザーへの説明が出来ないとの理由で不採用(なお、韓国では記載商品数による料金制を採用したが、マドプロ加盟を機に廃止した)
商標の本来的価値は、使用した結果による財産的価値であるとの認識と非使用(部分)商標の空権利であるとする使用主義を補完する判例の蓄積が必要といえる。幸いにも審査運用においては、今回の小売登録制度の改正に伴い、3条柱書の厳格適用を今まで以上に審査することとなった。

B.類似群の見直しと同意書制度
 商標法4条1項11号では“商標が同一又は類似、商品・役務が同一又は類似”とあり、商標自体の類似判断については審査官が高度な専門的知識と判断を持っているが、商品・役務に関しての知識は当業者の方が熟知している。タイムリーな『類似商品・役務審査基準』の改定も必要であるが、改定版を出しても新商品・新規サービスは日々創造されている。従って、商品・役務の類似判断については同意書の活用の余地は大きい。(今般の基準改定により引用商標権利者の説明書提出が盛り込まれたが、利害関係もあり説明書取得は厳しいケースもあるものと思われる。当業者を対象としたアンケート調査の活用も考えられる。)
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<〜次回はアンケート調査の活用を掲載予定〜>