トムソンブランディは去る1月16日(東京)、1月26日(大阪)に於いて特別知財セミナーを開催いたしました。
演題は、弁理士・木村三朗氏の「普通名称化を防ぐ為の商標管理」と当社企画開発室長・飯塚哲朗の「“商標の今日的課題と将来展望”その後」。
ここでは、当社企画開発室長・飯塚哲朗の「“商標の今日的課題と将来展望”その後」の講演内容の抜粋を全4回にわたってご紹介いたします。
第3回 商標の今日的課題と将来展望のその後(1)
日本知的財産協会60周年記念特集として“21世紀を見据えた知的財産権の将来展望”として同協会の専門委員会ではテーマにそった論文を1998年11月号「知財管理」に発表した。
商標委員会では、委員会中心メンバーと当時特許庁商標課長で現在首都大学東京 法科大学院教授の工藤莞児先生との座談会『商標の今日的課題と将来展望』の内容をとりまとめ掲載した。
前掲書誌が発刊され約10年を経過し、当時の課題解決の現状を検証すると共に、具体的事例を挙げて経済活性化と経営再生の柱として展開されるブランド戦略における商標管理上の問題点を整理し、商標保護のあるべき姿と商標管理についての、今後の方向性を探ると題して下記事項について講演した。
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1.1998年当時の商標をとりまく状況
2.97・98審議会討議の内容と課題
3.現在の商標問題の課題<飯塚私案としての指摘>
1)同意書制度導入の論議
2)指定商品・役務の記載について
3)類似群の見直しと同意書制度
4)アンケートの活用
5)相対的拒絶理由についての異議待ち審査制度
4.新たに浮上した商標問題
1)短縮化された審査期間
2)経営統合・企業合併(M&A)での商標問題
5.技術革新とライフスタイルの変化での商標戦略
6.J-Brand構想(国家的なブランド戦略展開の試み)
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上記演目のうち
■ 同意書制度と検討すべき課題について
■ アンケートの活用について
■ 経営統合・企業合併(M&A)について
を4篇に分けて講演要旨を紹介する。
■同意書制度と検討すべき課題について
97年98年の審議会では、マドリット協定プロトコルの将来加盟を見据えて手続の国際ハーモナイゼイションとしての商標法条約(TLT)の要請に基づく国内法整備のための論議が行われ、
1)出願・更新時の付加条件を撤廃し、手続の簡素化する方策として
・1出願多区分制 (手続の簡素化に貢献)
・業務記載の廃止(3条柱書の審査運用で対応)
・更新時実体審査の廃止 (不使用商標が再出願されている高率な実態)
・移転広告の廃止(広告項目に商標表示がなく形骸化)
2)早期審査:現状打破とマドプロ(18ヶ月以内の拒絶通告)の準備の方策として
・連合制度の廃止 (類似商標の分離移転可へ)
・付与後異議制度 (異議申立率からして全体の登録時期を遅らせる弊害)
・不使用取消審判の駆込み使用の防止(審判先行から、協議先行へ)
などの項目を具体化し法律改正を行った。
連合制度の廃止は、早期審査を実現するために審査部の負担を軽くするためのものであり、論議の争点は登録後の移転時に相互に類似する商標(連合関係に相当する商標)のチェックをするか否か?が討議された。
結果として、登録商標がライセンスされているケースでは市場で同一商標の使用が併存している状況であり、契約上の取扱いで需要者の混乱は生じていない。
商標権譲渡においても、商標権者と譲受者(使用者)との話し合い(私的自治)に委ねることとし、同一・類似商標の分離移転を可とすることなった。
次なる議論として、ライセンス、同一・類似商標の分離移転の行為を財産権の処分と認めるならば、審査中であっても当事者間の協議結果を尊重し同意書の提出があれば登録すべきとの一部意見もあったが、完全審査を実践する中で同意書の利用は難しく、継続検討として扱われることとなった。
同意書制度導入希望の背景には、マドプロ利用の促進と権利の安定性を望むもので、次の理由によるものである。
(1)現行制度では、マドプロで基礎出願をベースに出願し商標法4条1項11号の拒絶理由の場合、引用商標権者に一旦譲渡し、登録後出願人に再び譲渡することで対応する実務が執られているが、出願中の譲渡の時点でセントラルアタックに該当するのではないか?とする懸念がある。
(2)前記(1)は、商標権者が異なる2以上の引用商標が存在する場合は、対応できず拒絶査定となりセントラルアタックとなる。
(3)前記(2)のケースの場合には同意書により解消することができ、マドプロ利用の促進も図られる。